電気自動車のバッテリーに必要な希少金属であるリチウム、特にコバルトの供給ボトルネック問題

リチウムとコバルト
Source: fears of a lithium shortage

世界がEV(電気自動車)に大幅に舵をきっている。

2040年までにディーゼル車とガソリン車の販売を禁止すると英国およびフランスが表明すると、中国も追随。

ガソリン・ディーゼル車の禁止とEV(電気自動車)時代へのシフト
Source: China’s fossil fuel deadline(Bloomberg)

単純にEVが環境に良いからという話よりも、ガソリン車やディーゼル車など内燃機関自動車では日本とドイツの自動車メーカーの強さは圧巻で、だからこそより部品の少なくて済む電気自動車へのシフトは周辺国からすると巻き返し・政治的にカードを引き出しやすいチャンスでもあるというのが正直なところだろう。

実際に全てが電気自動車に置き換わる時代はくるのだろうか?

EV売上高推移予想
Source: UBS

こちらはUBSのEV(電気自動車)の売上高・シェア推移の地域別予想で、以下がBloombergによる予想となる。

EV sales
Source: Bloomberg

2040年までのテスラ車の売上予想
Source: Morgan Stanley

さらに、モルガン・スタンレーによるとEVの代表的メーカーであるテスラの販売台数は2040年までに3200万台まで拡大すると予想しているほどだ。

ただし、現時点では電気自動車の販売台数は補助金によって盛られているのが現実だ。

テスラとデンマークの補助金
Source: テスラの補助金見直し問題 Reuters

補助金を見直した途端に売れ行きに急ブレーキがかかっている。

100%電気自動車に置き換わったらリチウムとコバルト価格が暴騰する

テスラ車のバッテリーの中身

EVのコストの大半を占めるのがバッテリーで、そのコストのボトルネックはバッテリーに必要なリチウムやコバルトが希少金属であることだ。

EV(電気自動車)のコスト内訳
Source: electric car hysteria(Bloomberg)

そのため、もし全ての自動車がEV(電気自動車)に置き換わったらEVのバッテリー製造に必要なリチウムやコバルトなどの需要がどの程度高まるのかをUBSが試算したグラフが以下の内容。

100%電気自動車に変わったらリチウムとコバルト価格が暴騰する
Source PDF: UBS

飛び抜けている。

だからリチウムやコバルトの価格は前のめりで上昇した。

また、希少金属の分布、及び現状の採掘シェアの偏りも問題だ。

リチウムの採掘の半分(2015年時点で49%)が南米から供給されている。

世界のリチウムの採掘分布

それ以上に偏りが懸念されているのは世界のコバルトの50%が産出されるアフリカのコンゴだ。

リチウムとコバルトの価格ボトルネック
Source: lithium battery future(Bloomberg)

コンゴでは水不足や無認可採掘や過酷な労働環境が問題となっており、コバルトの採掘及び供給のボトルネックとなるかもしれない。

いかにエコな電気自動車とはいえ、その電気を発電するのが石炭発電ばかりであれば持続可能性の観点も含め、完全にエコとはいえないだろう。

それゆえにテスラCEOのイーロン・マスクは太陽光発電に対する取り組みも本格的だということだ。